東京の私立中高一貫生 学生生活編 ボリュームゾーンの中学受験終了

中学受験 偏差値50を半数の親子は超える事が出来ません。そんな世界の話を書いています

ボリュームゾーンの中学受験 夏休み中に絶対成績を上げる。

6月。今の偏差値より夏休み中に2上げて、その後3上げれば志望校に到達する!

なんて世の中の皆様同じをように考えています。「ムスコは偏差値65ありますから、夏休み明けには58にすればちょうどイイザマス」なんて言う方、いる訳ありません。偏差値65の方は70の学校を、55の方は60の学校をを目指している。それが中学受験沼レース!

 

ボリュームゾーンの中学受験 夏休み中に絶対追いつく!!

6年生になって、口座の引き落としの金額がエグさを増した。子供の教育費は私の口座から引き落とされている。生活費、家賃などは夫が出しているが、生活費より教育費の方が圧倒的にお金がかかっている気がする今日この頃。いや、こども二人とも私大理系に進学したら圧倒的にお金がかかる事は計算せずとも分かっている。教育費、馬鹿にできないどころか間違いなく親の人生を圧迫している。

毎日子供といる時間を削って仕事をして得るお金だ。教育費にコスパは求めてはいないけれど、教育費をかける意味があるのか、自分の人生と引き換えにもらっているお金だ。それについては考えざるを得ないと思う。

仕事の間にパソコンの前で11時を待ちながらそんな事を考えていた。11時。中学受験の渋谷御茶ノ水の合格不合格テストの申し込み時間なのだ。人気の会場はすぐに埋まってしまう。職場には申し訳ないけれど、この時間は待機できるようにスケジュールを調整していた。10時50分過ぎ、取引先から電話がかかってきてしまう。寄りによって長電話になりそうな相手でイライラを悟られないように丁寧に対応する。11時を過ぎた、時計を気にするがそこまで神経質にならなくても大丈夫。自分にそう言い聞かせて電話を切る。模試の申し込みページを開くと、「残りわずか」と表示される。クレジットカード払いで決済すると少し時間がかかってしまうので、コンビニ払いを選択する。完了しました、の文字が表示され憧れ校の会場模試申し込みが無事に終了した。志望校の登録は家に帰ってからにしよう。そして仕事に戻る。

夕方になり、息子が帰宅しているだろう時間になると息子はきちんと勉強しているのだろうか?少しでもやっていれば良いのだけれど、、、と気になって仕方がない。業務終了の時間になるとすぐに切り上げて行く私の事を独身組の同僚が良く思っていないだろうがそこは切り捨てて帰宅する。

毎日が必死だ。中学受験はワーママの命を想像以上に削っているに違いないと思う。

家に帰ると息子はやらなければいけない課題を残したまま漫画を読んでいた。私の顔を見るなり「今やろうとしていたところ」と前回の塾の学習範囲の復習を始めた。かろうじて読める字で解かれているノートに目をやり「このままでは成績が上がらない」そう確信する。「丁寧に解いて」と口を出そうものなら「やってるって言ってるだろ?」と親をうざそうに強い口調で返事をする。そういう年頃だとはわかっているけれどこちらもイラっとする。が言わざるを得ないので注意する。

出来ている所を誉めてあげたいけれど、出来ていない事が山積みなのだ、どうしても注意のウェイトが重くなってしまう。ここにプロの教育ママが来れば変わるのだろうか?過去にも教育本を読んでみたが良くわからないまま現在に至っていた。しかし確かに言える事、このままだと成績が上がらない。

7月、8月は夏期講習で全員が勉強をする。ここで成績を上げるは至難の業だろう。なので今しかないはずなのだ。夫を呼び出して作戦会議を立てる事にした。

「夏以降に偏差値を上げるのは難しそうなので、6月は強化月間にしたい。パパも協力して欲しい。」

「協力って具体的に何をすればいいの?男の子は直前まで伸びるんだし、今そんなに詰めたら本番まで持たないんじゃないのか?」今まであまり中学受験に関わって来なかった夫は私ほど受験に熱を持っていない。直前に伸びてそこそこ良い学校に入学できると信じているようだった。

「男子は直前まで伸びるかもしれないけれど、男子校を受験する子はみんな男子だよ。直前はみんなの熱に押されて頑張るはずだから息切れしないと思う。今少しでも成績を上げたい」私の言葉に納得したのか反論するのがめんどくさいからかはわからないけれど、一応こちらの要求を呑んでくれそうだった。

「社会と理科のテストの直しが出来ているか、暗記できているか確認して欲しい。算数は中学受験は特殊だから親が変に教えない方がよいらしい、(あたなが変な教え方をして混乱させたくない)なので、社会と理科の頻出分野の確認を徹底的にして欲しいの。」私の言葉を承諾をしつつも

「勉強に親がこんなに手足口出しして、それは本当に本人のためになるの?」と最もな疑問を私に投げかけて来た。

「そんな事私が今わかる訳ないじゃない。」何が本人の役に立って、何が役に立たなかった。それがわかれば子育ての苦労は半分になると思う。なぜそれを聞くのだろうか?質問の意図にイラついた。が、今は協力を仰ぐ時だ。この人は子育ての協力を仰ぐ取引先の人。仕事の感覚に戻す。

「言いたい事はわかるけれど、自主性とか後で成長できるものは今はとりあえず後回しにして、後で必ず成長してもらいましょう。今は覚えられる事は覚えて夏以降の演習に備えます。ここから2月まで駆け上がり続けるイメージで、私はスケジュール管理と体調管理等基本の管理を。あなたは理科と社会の実戦の管理をお願いします。」

仕事のノリを持ち込んだ方が夫との会話は早い。この15年で身に着けた技を使い、この場は切り抜けた。後はどう実践して行くかになる。また私は1人作戦会議だ。

白熱した夫婦のやり取りを知らずに今日も息子はのんびりと問題を解く。真面目には取り組むけれど、熱意は感じられない。そんな息子の偏差値は49。大抵50に届かない。それでも中学受験で偏差値50付近を取れるのはなかなかなものだと理解している。会社にもいる、もっと真面目に取り組めばもっと成果が出せそうな人が。でも、その人はそれ以上頑張らない、それ以上頑張らないのが彼の能力なのだ。劇的なやる気が起きる事を願うより、今のモチベーションで今以上の結果が出せる仕組みを作る事が上司の仕事なのだ。人を変えるより自分が変わる方が早い。

夏休み中に成績を上げるために。今は覚えていない基礎を刷り込む。徹底的に刷り込む。刷り込むための仕組み。

息子は1日2冊ほど漫画を読む。漫画は2冊20分までとすることにして、親が帰るまでに課題を覚えていれば休憩として2冊の漫画を読む時間を与えてみた。これは何の効果もなし。3日でやめた。

1日の勉強の課題が終わり理科と社会の夫とのテストに合格したら30分の漫画を読む時間を与える。不合格だと1冊のみ。本の管理は私の仕事にして本棚から本を選び戻すまでの時間を管理した。

これは当たった。好きな事を好きな時に出来るようにすると、子供は動画でも漫画でもこらえきれずに見てしまうのだ。こらえるストレスも感じる。でも諦めさせてしまうとそこにストレスは感じられないのだ。親の部屋にカギをかけて本を管理する。めんどくさいけれど、これが私の仕事なのだ。そう割り切る。

6月の取り組みは7月の模試の結果にすぐに表れた。偏差値が過去最高の54まで上がったのだ。夏期講習はいつもより2つ上のクラスで受ける資格があると塾から告げられた。

喜んで飛びついてしまいそうだけれど、これは違うのか、1つ上げるだけで十分なのか、塾の先生からも保護者の判断で良いと言われた。これは大きな分かれ道になりそうだった。再び夫と作戦会議をした。

「夏期講習のクラスを今より2つ上げるか、1つだけ上げるか、成績を上げるためにはどちらが良いか」

メリットとデメリットを羅列した。そして、環境を変えるために2つクラスを上げる事にした。今のあなたはこのクラスで授業を受ける権利がある。このクラスで戦えると塾に評価された。息子にそう伝えた。少しめんどくさそうな顔をしながらその話を聞いていた息子に私は告げた。

「あなたは今、大きなチャンスをもらえた。このクラスで挑戦する権利。挑戦する権利を自分の努力で手に入れたの。」

夏休み以降、息子と夫の気持ちは変わった。成績が上がった事でもう少し工夫して理科と社会に取り組むようになっていった。

そうは言っても夏休み中は息子がちゃんと勉強しているかやはり気になった。だけれどクラスの雰囲気のおかげか、彼の自信のおかげか、彼にしてはさぼらずに勉強していた。

夏休み最後の模試では55を取り、そこから最後まで成績はその近辺をキープして最終的に偏差値55の第二志望の学校に合格した。第一志望はダメだったけれど6月に模試を受けた学校だ。そこは不合格でもその学校を受験できるまで頑張ったという事に、夫は私以上に喜んでいた。

御三家に合格したわけではない、世間から見るとまあ良い学校という認識だろうか。

それでも我が家では大金星だ。

どこがポイントだったかと言うと、6月に家族会議で方向を一致させることが出来た事、夏休み前にエンジン全開にした事だ。1年、2年は長いかもしれなけれど、6月だったから出来た。子供は変われない、親が環境を変えるしかないと覚悟したことだ。この時期に成績を上げられたことは彼の自信になった。良い受験だったと言えたのは6月のおかげだったと思う。

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この話はフィクションです。

 

↓実際の成績があげられなかった私の6月の状態はこちら

mamahensachiagetai.hatenablog.com

 

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