東京の私立中高一貫生 学生生活編 ボリュームゾーンの中学受験終了

中学受験 偏差値50を半数の親子は超える事が出来ません。そんな世界の話を書いています

附属中の入学5年後~大学は外部受験?やっぱり内部進学?~ボリュームゾーンの中学受験

「大学受験の指導塾の先生は自分の子供を附属校には入れたくない。と言うらしい。」その言葉が胸に残っていたけれど、娘のアオイは「GMARCHの少し下と言われる大学群」の附属中に入学した。なかなか激戦の中学受験を突破。4割程度が外部大学に進学する学校。アオイも大学受験は中学受験で届かなかったGMARCH以上へ。そんな気持ちで入学した。

入学してみると中学の初めから附属の大学へと考えている層はいるけれど体感として3割程度でその子達は部活や芸事に精を出しているようだった。先生の半数はその学校が母校で、学校が大好きの様だった。附属校ならではの雰囲気はその人達が醸し出して、その子たちの家庭はなかなか裕福な事が多く、アオイもお友達の凛子ちゃん家族に良く一緒に別荘に連れて行ってもらったりしていた。これぞ附属校の楽しみ方なのかしら?なんて親子で凛子ちゃんに感謝をしていた。アオイは学校の成績は半分より少し上くらい。もう少し頑張れば?と思うけれどここでもボリュームゾーン。外部を受験するならもう少し頑張らないと。中学はゆっくり過ごしたけれど高校は気合を入れないと。そう思いながらも親子ともに学校に頼り、安心しきって中学時代を過ごした。

高1に上がってすぐに「高2から外部難関大学を目指すコースか、附属校を目指すコースかに分かれる事になる。」と進学への説明があった。将来についてしっかりしたビジョンがある訳ではないアオイに

「外部進学コースよね?」

と簡単に確認を取った。選択は多い方が良い。今はまだ高1だ、はっきりしなくても良いと思った。学校からのコース説明もあっさりとしたものだった。高2では外部コースが多く、そのうち何割かが高3で内部コースに戻る。どちらにもチャンスがある、そう聞いて素晴らしいと思った。

実際に高校2年生になると「外部難関大学コース」が始まり、大学受験を意識したカリキュラムになった。附属校に進学する子は別クラス。一気に学校生活が変わり、楽しそうに学校に通っていたアオイの表情が日に日に暗くなって行くのがわかった。私もアオイの振るわない成績を見て自分がストレスを感じているのがわかった。

この4年間、温室のような空間でのびやかに過ごしていた。外部模試を受験すると自分の大学どころかあまり人気のない女子大すら合格が難しいような偏差値が出る。それでも学校からは

「ここから受験の時期まで学力は上がり続けるので頑張って勉強しましょう」

と攻略法ではなく、ぼんやりとした説明が行われるだけだった。そのフレーズは中学受験で飽きるほど聞いた。と苛立ちさえ覚えた。

そこに来て気が付いた。この学校の先生はこの学校卒業者が多く外部受験を先生自身が経験していない方が多い。外部進学についての詳しい説明がぼんやりしがちになる訳だ。

温室でこの4年間親子ともに緩やかに過ごせた。素敵な先生、友人に恵まれた。この学校のメリットを最大限に享受するなら附属大学に進学する事。そう気が付いた。

「高3からは附属コースに移りたい」

アオイの希望に反対せず附属コースへの変更を承諾した。その際に

「外部難関大コースではアオイは頑張ってたけれど高1,高2の評定平均は3.2。3.2は附属に進学するコースの最低点で人気の学部はとてもじゃないけれど選べない。3年生で4.0をもらっても、3.6。人気の学部は難しい。それでも内部進学で良いの?」

と確認をした。

「私は私の学校の中学か高校の先生になれればいいんだ。だから人気学部じゃなくていい。希望すれば大学は転部も出来るんだって。」

アオイはきちんと自分で判断している。そう感じた。

「先生になれなかったらどうするの?」

親として確認しておかなければいけない事だけ聞いておこうと思った。

「そこそこ適当な会社に勤めて、お金をためて不動産投資とかしていきたい。学歴よりもお金が稼げる事をしたい。」

理系氷河期院卒の父親の兄弟の事を思い浮かべている。そう思った。そう思うのも間違いじゃないし、親の感覚はもう古いかもしれない。

「わかった、いいよ。アオイの判断に任せる。」

結局アオイは高3になってもそれほど勉強を頑張らず、すんなり進学できる学部に入学する事が決まった。附属校生は大学の授業に出る事もできるらしく、大学にも顔を出すようになった。大学生にチヤホヤされて楽しそうに過ごし、学校で禁止されているアルバイトをひっそりと始めて、大学生の彼氏も出来た。これで良いのだろうか?と思うところもあったけど正面突破だけが人生じゃない。上手く辻褄を合わせる能力が高い。自分が社会に出て出会った附属生に感じたものをアオイが持っていると感じた。

思い描いていた子供の進路とはまったく違いそうだし、未来もどうなるかわからない。今苦労しなかった分、将来アオイは何かを苦労する事になるかもしれない。でもそれは、彼女自身が決めた将来だ。彼女が頑張る時が来れば頑張れば良いと思う。親はチャンスをあげたはずだ。

「そういえば、凛子ちゃんは何学部?」

同じ附属コースにいた凛子ちゃんの進学先が気になった。

「凛子はオーストラリアの大学に進学だよ。」

アオイが自慢気に答えた。

やられた、、という気分にもなったし、さすが!とも思えた。

「絶対に遊びに行くんだ、だから私はゆっくりアルバイトでお金をためるって約束したの。」

高3の11月にこの会話ができるのは附属生のメリットだ。

中学受験をした時は上へ上へと鮭のように目指した。そして併願校のこの学校に通う事になった。熱望した訳ではない。でも、こうして私たち親子の人生は深く変わっている。

今一度小学校5年生の秋に戻れたら併願校に附属校を受験する、同じ選択に戻るだろうか。その時の自分に聞いてみたい。

 

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この話はフィクションで、でもどこかの附属生がモデルです。

 

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